『炭酸水と犬』砂村かいり あらすじと感想(ネタバレなし)

小説

今日は、砂村かいりさんの
『炭酸水と犬』をご紹介したいと思います。


○ モヤキュン恋愛小説が読みたい人
○ 読めない展開にハラハラしたい人
○ 現実ではありえない設定を楽しみたい人


に、おすすめの1冊です。
 

基本情報とあらすじ

タイトル:炭酸水と犬
著者:砂村かいり
発行日:2021.3.18
発行所:KADOKAWA



この作品は、
「もうひとり、彼女ができたんだ」
という衝撃の一言から始まります。


このセリフを言ったのは、小平和佐。
館野由麻の彼氏である。


恋人である和佐に、そう言われた由麻は、
その後半年間に渡って苦しみ続けることになる。


由麻と和佐は付き合って9年。
一緒に暮らし始めて4年。


由麻は29歳で、もうすぐ30歳の
誕生日を迎えようとしている。


20代のうちに結婚したいと
密かに思っていたけれど、
どうやらそれは叶いそうにない。


和佐は、
新しい彼女のことも好きだけど、
(実際にははっきり好きだとは言わないけど)
由麻のことも好きだと言う。


堂々と二股をかけている感じで、
時折新しい彼女の元へ出かけていく。


和佐の2人目の彼女は、門脇亜紗美。
ボランティア団体のOB会で出会ったそうだ。


由麻とも付き合っていきたいし、
亜紗美とも付き合っていきたいと和佐は言う。


和佐のどっちつかずの態度にモヤモヤしながら、
毎日を過ごす由麻。


そして、なぜか、
新しい彼女と3人で会うことに。


どっちつかずの和佐にもムカつき、
相手の女もムカつく。


そんな最低な男、
捨ててしまえばいいと思うのに、それができない。


この物語の結末は…?

感想

以前読んだ『アパートたまゆら』が
とてもよかったので、
こちらも読んでみることにしました。


うっかり夕方から読み始めてしまったため、
続きが気になりすぎて読むのをやめられず、
夜中までかけて一気に読破しました。


なので、今日は非常に寝不足です。笑


先が読めないストーリーで、
本の世界にどっぷり浸かってしまう面白さがあります。


由麻の、苦しいのにどこにも行けず、
身動きが取れない感じが伝わってきて、
読んでいるわたしもとても苦しかったです。


本書は400ページほどあり、
けっこうボリュームがあるのだけど、
そのうちの4分の3は苦しいです (;´Д`)


読んでいる途中で、あまりにも苦しくて、
作者は、どうしてこんなひどい物語を
書けたんだろうと、そこまで思いました。


最後どこに着地するのだろう?と
考えながら読んでいたけど、
どんなに考えても
わたしには分からなかったです。


由麻は、
自分の奥底にある気持ちに蓋をして、
それに気づかないまま生きていました。


自分に対しても、和佐に対しても、
曇った眼鏡をかけていたんだと思います。


もう一度読み直してみると、
自分の気持ちの片鱗は、いたるところにあるのに。


読んでいるわたしも、由麻と同じように、
由麻の本当の気持ちは見ないようにして
読み進めていたことに、最後の最後で気づきました。


文章にどのくらいその片鱗を忍ばせるか。
その塩梅が絶妙です。



最後に由麻が、
恋人にもうひとり彼女ができたことは、
感謝に値するできごとではないだろうか?
と、考えるシーンがあります。


何か悪いことが起きたとき、
実はそれは悪いことではなく、
次なる飛躍の前触れだった、
ということはよくあります。


由麻が強く羽ばたくには、
今の何かを壊す必要があった。


新しく何かを創造するには、
破壊が必要だから。


破壊の真っただ中にいるとき、
(それはこの小説の大部分のことだけど)
とてもとても苦しい。


だけど、それがあったからこそ、
次のステージへ行ける。


由麻には幸せになってもらいたい。
いや、すでに幸せだろうけど。


欲を言えば、
あまりに苦しい時間が長かったから、
キュンキュン要素がもっと欲しかったなぁ…
と思いました。


それは、
ごはんを食べてお腹いっぱいなのに、
デザートが食べたい!と思う感じに
とてもよく似ています。笑


ぜひ、読んでみてください。



後日追記。

カクヨムで、この物語の続きが
番外編として書かれているのを見つけました。


そちらには、
わたしが感じていた物足りなさを
完璧に埋めてくれる物語があり、
とても満足しました。


ぜひ、本書を読んだあとに、
こちらの番外編も読んでみてほしいと思います。

番外編は こちら です。



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