今日は、第155回芥川賞受賞作品である
村田 沙耶香さんの『コンビニ人間』を
ご紹介したいと思います。
○ 生きにくいと感じている人
○ 普通じゃないとよく言われる人
○ コンプレックスがある人
に、おすすめの1冊です。
基本情報とあらすじ

タイトル:コンビニ人間
著者:村田 沙耶香
発行日:2018.9.10(文庫)
発行所:文藝春秋
36歳、未婚、彼氏いない歴=年齢の古倉恵子。
18歳のときにコンビニでアルバイトを初め、
それから18年間、コンビニで働き続けている。
小さい頃から、周りの人たちに
「普通ではない」と判断されてきた。
人が抱く「感情」というものが分からず、
周りに困惑されてしまう。
特に強い衝動や欲求があるわけではなく、
自分としては特に困ってはいないのだけど、
不便ではあるので、「普通」になるために、
周りのアドバイスを聞いたり、
いろいろと工夫をして生きてきた。
大学1年生のとき、
新しいコンビニがオープンしたときに応募し、合格する。
マニュアル通りの仕事、秩序ある世界。
コンビニにいるときは、
世界の正常な部品になっている気がするのだ。
「コンビニ店員」として
穏やかに生きていた恵子の人生に、
新入りの男性、白羽がやってくることで
変化が起き始める。
「コンビニ店員である」というアイデンティティ

Instagramで、
おすすめされている人がいたので
気になって読んでみました。
タイトル的に、
全然期待していなかったのですが(ごめんなさいw)
とても面白い本でした。
200ページないので、
短時間でさくっと読めます。
またいつか読み返したい、と思わせる本です。
わたしは、主人公の恵子に、
とても好感を持ちました。
彼女は、コンビニ店員の鑑だと思います。
なんと真面目で素敵な店員さんなんでしょう。
コンビニ店員の方全員に、
本書を読んでもらいたい!と思いました。
我が家の近くには「セブンイレブン」があり、
よく利用させてもらっているので、
本書を読んでいる間、わたしの頭の中には
「セブンイレブン」が浮かんでいました。
「コンビニ店員なんて誰でもできる」
というような言葉をよく聞くけど、
わたしはそうは思いません。
高校生の頃、
わたしもコンビニでバイトをしていたけど、
たぶん今はできないと思います。
コンビニ店員として、
とても熱心に、そして完璧に動ける彼女は、
それこそが彼女の「才能」だと思いました。
「コンビニ店員である」というのが、
彼女のアイデンティティなんです。
誰もが「自分は何者なのか?」という
疑問を持ち、その答えを探しながら生きています。
そんな中、
「コンビニ店員である自分こそ、自分だ」
と気づけた彼女は、幸せだと思いました。
「普通」とは何か?

Amazonの、本書の紹介文に、
「普通」とは何か?
という一文が書いてありますが、
まさにそれが本書のテーマだと思います。
先日、「正欲」を読んだときも、
同じように「普通」とは何か?
「多様性」とは何か?について考えましたが、
本書もそれらについて考えさせられるお話です。
恵子と同じ様に「普通ではない」と
判断されて生きてきた白羽は、
周りの人に干渉されたくない、
詮索されたくないと望んでいます。
そんな白羽のセリフが、
わたしはとても印象的でした。
誰にも迷惑をかけていないのに、ただ、少数派だというだけで、皆が僕の人生を簡単に強姦する
『コンビニ人間』村田 沙耶香 著 文藝春秋
わたしも、仕事を続けることができなくて、
社会不適合者だなぁと思って生きてきたので、
気持ちはよく分かります。
だけど、きっと、同じように、
わたしも誰かの人生を
強姦してきたのだろうとも思うのです。
自然と口を出てしまう「普通」という
言葉の定義は、人それぞれ。
分かっていても、無意識に
その「普通」に当てはめて考え、
行動してしまうのかもしれません。
わたしにとっての「普通ではない」
誰かにとっての「普通」も、
世界にはたくさんあるのだということを
忘れずに生きたいと思いました。
ぜひ、読んでみてください。
P.S.
このお話は「音」が特徴的です。
コンビニの音、声、など、
「音」が効果的に使われています。
そこに気をつけて読むと、
また違った面白さがあると思います。
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