今日は、素敵な双子の兄弟が登場する物語。伊坂幸太郎さんの『フーガはユーガ』をご紹介したいと思います。
○ 伊坂幸太郎ワールドを堪能したい人
○ 読めない展開にドキドキしたい人
○ 静かに前向きな気持ちになりたい人
に、とてもおすすめな一冊です。
基本情報
タイトル:フーガはユーガ
著者:伊坂幸太郎
発行日:2018.11.10
発行所:実業之日本社
文庫化:2021.10.7
あらすじ
ファミレスで、高杉(たかすぎ)という男に向かって、常盤優我(ときわ ゆうが)が、今までの人生について語っている。
父親にずっと暴力を振るわれていたこと。母親には何の関心も抱かれていなかったこと。双子の弟である常盤風我(ときわ ふうが)のこと。そして、自分と風我の間で起こる瞬間移動のこと。
2人は、1年に1日、誕生日にだけ、瞬間移動をする。2時間おきに、優我と風我が入れ替わるのだ。
瞬間移動をする、ということ以外では、彼らは不運で、貧乏で、人生には「いいこと」はほとんど何も起きなかった。父親の暴力に耐え忍ぶ毎日だったけど、2人だからこそ耐えることができた。
成長するにつれて、いろいろな人に出会った。その中で生まれたのが「小さな正義」だ。2人ともそれを「正義」とは思っていなかったけど、理不尽なことが許せなかったり、苦しんでいる人がいたら助けたいと思うのは、立派な正義だ。
そんな小さな正義感を持った2人は、まわりで起きた事件や問題を、瞬間移動を使って解決していく。と書くと、なんだかヒーローものみたいだけど、そんなにキラキラした物語ではない。
さて、なぜ、優我は、今までの人生について高杉に話しているのか?ファミレスで、高杉に向かって話している話は、最後はどこへ向かうのか?
感想

伊坂幸太郎さんの本は大好きで、今までに何冊も読んできました。伊坂さんの最大の魅力は、「キャラ設定」だと思っています。どの物語も、キャラがすごくいいんです。本書も、もちろんそうです。
双子の兄弟。勉強が得意な優我と運動が得意な風我。自分や周りの人たちを見る目がいつも冷静で、いつも真実を見ている感じがします。
伊坂さんの本に出てくるキャラは、本を読み終わるのを待つまでもなく、好きになってしまうんですよね。
この本の中で、伊坂さんらしいなと思って思わずクスっと笑ってしまったシーンを紹介します。
中学までは毎日一緒にいた2人でしたが、高校からは別々に行動することが増えました。優我は高校に行ったけど、風我は高校に行かず、働くことにしたからです。
そして、少し経った頃、風我に「小玉(こだま)」という彼女ができた。優我が「いつも小玉と何をしているんだよ」と、風我に聞くと、「優我には悪いけどな、俺はすでに童貞ではない」と答えるシーン。
こういう、サラッとした下ネタを入れてくるあたりが伊坂さんらしいなと思いました。
実はこのお話は、明るいハッピーなお話ではありません。普通なら、ものすごく暗くなってしまうような展開もあります。
ですが、ちっとも暗くありません。むしろスッキリ感・前向き感があるくらいです。とっても不思議な感覚なのですが、それが伊坂さんの力だと思います。
読み終わったあとに、再度タイトルを読んでみると、とても深みを感じます。物語の展開や、セリフの言い回しが、伊坂ワールド全開で、最後の最後までドキドキしながら楽しめました。
ぜひ、読んでみてください(´ω`*)
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