『白鳥とコウモリ』東野圭吾 著 あらすじと感想(ネタバレなし)

小説

今日は、深く考えさせられるミステリー、東野圭吾さんの『白鳥とコウモリ』をご紹介したいと思います。


○一筋縄ではいかないミステリーが読みたい人
○考えさせられる作品が好きな人
○司法に興味がある人


に、おすすめの一冊です。
 

基本情報



タイトル:白鳥とコウモリ
著者:東野圭吾
発行日:2021.4.5
発行所:幻冬舎

あらすじ

港区海岸にとめられていた車から、白石健介(しらいしけんすけ)の遺体が発見された。白石は、55歳。港区南青山に住む弁護士だった。


捜査にあたる五代(ごだい)と中町(なかまち)は関係者から話を聞く。弁護士だから、誰かから恨まれるようなことがあったのではないか?と、考えていたが、白石はまじめな弁護士で、いつも誠実に仕事をしていたようだ。


捜査が進む中、白石の事務所に、ある男が電話をかけてきていた事実が発覚する。その男は、倉木達郎(くらきたつろう)66歳。愛知県安城市に、1人で住んでいる。妻は、随分前に病気で亡くなり、一人息子は東京で働いている。


五代は倉木の家に行き、話を聞く。


捜査が進むうちに、1984年に愛知県で起きた殺人事件に、倉木が関わっていたことがわかった。警察は倉木が本ボシだと睨み、五代は再び倉木の家に行くことになる。


倉木に話を聞いていると、そのうち、穏やかな顔でこう言った。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」


倉木は全てを自供し、事件は解決したかのように見えた。ところが…。


父親が罪を犯したことを知った息子の和真(かずま)は、どうしてもそれを受け入れられずにいた。父親を殺害された白石の娘の美令(みれい)もまた、倉木の自供内容に納得ができないでいた。


自供内容は本当のことか?何かが隠されているのではないか?和真と美令は、それぞれ独自に調べを進めていく。


被害者の娘と、加害者の息子。普通ならありえない組み合わせだが、真実を知りたいという目的のために2人は協力して捜査をするようになる。


1984年に起きた事件と、今回の事件の関連性は?2つの事件に秘められた真実とは?

手を取り合った白鳥とコウモリ

倉木を逮捕するまでの話も、1つの小説になるくらい面白いのですが、その後、納得のいかない2人が捜査を進め、事件の真相を暴いていく、という2段重ねのストーリーです。


この作品は522ページという大作です。1/3ほど読み進めたところで、一度、事件は収束したかのように見えるので、そこで少し中だるみする感じがしました。


最終的な事件解決までのスピードとしては、とてもゆっくりだと思います。ですが、少しずつ少しずつ、事件の真相に繋がる手がかりが見つかり、真実に近づいていくので、
最後まで一気に読みました。


タイトルの「白鳥とコウモリ」は、被害者の娘である美令と、加害者の息子である和真のことを指しています。五代と共に捜査をする中町が、2人のことをこんなふうに言っています。

「光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」

『白鳥とコウモリ』東野圭吾著 幻冬舎

普通なら手を取り合うなど、考えられない関係の2人ですが、「真実を知りたい」という目的のもと、手を取り合うのがこの作品の見どころの1つです。


真実が明らかになることで変わっていく2人の心境と関係についても、ぜひじっくりと味わってほしいなと思います。


この物語は、人の中に湧く、とある気持ちが、事件をややこしくしています。それを1つ1つ解きほぐしていった美令と和真。


2人は、「真実を知りたい」と思って動いているのに、検察は、いかにして倉木を起訴するかを考え、弁護士は、いかにして倉木の刑を軽くするかを考えている。「真実なんて二の次」といった態度が、かなりモヤモヤしました。


Amazonの作品紹介にも東野圭吾版 「罪と罰」とあるように、罪と罰という難しい問題についても深く考えさせられる作品でした。少し長い物語ですが、とても面白く、読んでよかったな、と思いました。


ぜひ、読んでみてください(´ω`*)
 

 
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