今日は、櫛木理宇さんの『死刑にいたる病』をご紹介したいと思います。
○ぞくぞくするミステリーが好きな人
○少し変わったミステリーが好きな人
○人間の裏側が見たい人
に、おすすめの一冊です。
基本情報
タイトル:死刑にいたる病
著者:櫛木理宇
文庫化:2017.10.25
発行所:早川書房
この本は、2015年7月に刊行された『チェインドッグ』を改題・文庫化したものです。
2022年5月6日に、阿部サダヲさんと岡田健史さんのW主演で映画化され、再び注目を集めている小説です。
あらすじ
”Fラン大学”に通う筧井雅也(かけいまさや)は、鬱屈した毎日を送っていた。仲のいい友だちもいない、”ただのぼっち大学生”だ。
雅也は、小学校中学校と優等生として生きてきた。だが、高校生になって落ちぶれて、そのまま過去の自分と今の自分の違いを受け入れられずに生きている。
ある日、雅也の元に1通の手紙が届いた。その差出人は、榛村大和(はいむらやまと)。一審で死刑を宣告され、現在控訴中の連続殺人者(シリアルキラー)である。
榛村は5年前に逮捕された。24件の殺人容疑で逮捕されたが、警察が立件できたのは、そのうちの9件だけだった。被害者の大半は、10代の少年少女だった。
拘置所で面会した榛村は、雅也のことを「まあくん」と呼んだ。
榛村は、逮捕されるその日までパン屋を営んでおり、その店に雅也は通っていたのだ。通っていたのは、小学校高学年から中学を卒業するまでの間で、それは雅也の人生の絶頂期だった。
榛村は、自分の罪を認めているが、9件目の殺人は、冤罪だと言う。
9件目の殺人は、23歳の女性が絞殺され、山奥に遺棄された事件だ。「あの1件に関してだけは、ぼくはまったくの冤罪なんだ」と言うのだ。
その1件が無罪になったとしても、榛村の死刑は免れないだろう。だけど、犯していない殺人の罪は背負いたくないと言う。
榛村の弁護士から事件に関する書類を受取り、雅也はそれを夢中になって読んだ。断ろうと思ったものの、その膨大な量の書類を読み込むのをやめることができなかった。
そして、また榛村に会いに行き、雅也は榛村に、何も力になれないかもしれないけどやってみる、と告げた。雅也は、事件についてもう一度調べてみることにした。
榛村の生い立ち、経歴、榛村の過去のすべてを調べる旅が始まった。
調べていく中で見えてくる榛村の人間性。生まれ育った環境。不運の連続だった人生。雅也は不思議なほど榛村に魅せられていく。
雅也は最後、どんな真実に辿り着くのか。榛村は果たして本当に無実なのか。無実だとしたら、本当の犯人は誰なのか。
次々に明らかになる真実に驚きが隠せない!一気読み必至のサイコサスペンスミステリー。
感想
死刑は確実なのに、頼んできた9件目の冤罪証明。榛村はなぜ冤罪証明を頼んだのか。頼んだのはなぜ雅也だったのか。わたしはそんなことを疑問に感じながら読んでいました。
読んでいくうちに、「最初からの悪人なんていない」と思い始めました。というのも、榛村の生い立ちは、控えめに言っても悲惨で、とてもかわいそうに思えたからです。
「榛村が生まれ育った環境が、もし少しでも違っていたら、シリアルキラーになんてなっていなかったんじゃないか」とわたしは思いましたが、そんなふうに思ってしまっている時点で、榛村の術中にハマっています。笑
これ以上はネタバレになりそうなので控えますが、とにかく榛村の力はすごいです。どれが嘘で、どれが罠、ということではなく、この物語全体に、榛村の力が染み込んでいます。
じわじわと、ぞくぞくと、怖い。それはもしかしたら、人間の怖さかもしれません。普通のミステリーでは感じられない独特の怖さが、この本の最大の魅力だと思います。
ぜひ、読んでみてください(´ω`*)
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