『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎 あらすじと感想(ネタバレなし)

小説

今日は、大好きな伊坂幸太郎さんの本をご紹介します。物語の中にボブ・ディランの音楽が登場する『アヒルと鴨のコインロッカー』です。


○大学生の人
○青春ミステリーが好きな人
○気軽に読めるミステリーを探している人


に、おすすめの一冊です。
 

基本情報



タイトル:アヒルと鴨のコインロッカー
著者:伊坂幸太郎
文庫化:2006.12.22
発行所:東京創元社

あらすじ

この物語は、「現在」パートと「2年前」パートの、2つの時間軸の物語で構成されています。最後はその2つの物語が1つになり、結末へと繋がっていきます。

現在

大学進学のために引っ越してきた椎名(しいな)。引っ越し先のアパートで出会ったのは、全身黒ずくめの長身の男、悪魔めいた印象の河崎(かわさき)だった。


引っ越しの段ボールを置きに外に出たとき、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでいると、隣の部屋に住む河崎に話しかけられた。


出会ったばかりの河崎は、椎名を部屋に招き入れ、その後「一緒に本屋を襲わないか」と言った。同じアパートに住んでいる外国人に、広辞苑をプレゼントしたいと言う。


もちろん、断るつもりだった。それなのに、気づくと、椎名はモデルガンを持って書店の裏口を見張っていた。

2年前

2年前、街ではある事件が起きていた。ペットが虐待され殺される事件だ。


その日、ペットショップで働いている琴美(ことみ)と、ブータン人の留学生ドルジは、ペットショップからいなくなった黒い柴犬、クロシバを探していた。


半日探してもクロシバは見つからなかった。夕方、2人は車に轢かれた猫を見つけた。そのまま置いていくわけにもいかず、猫を公園に埋めてあげることにした。


そのままその公園で休憩していると、夜になってしまった。すると、公園に男2人、女1人の3人組がやってきて、話を始めた。


その話の内容は、ペット殺しのことだった。




2つの時間軸で進んでいくそれぞれの物語。この2つの物語が交わるとき、物語は思いもよらなかった結末に向けて動き出す。

感想

伊坂幸太郎さんの作品は、どれも本当に「伊坂さんらしい」と感じる作品で、大好きです。この作品は、特に最初の方にそれを感じました。


椎名が引っ越し先のアパートで河崎に会う前、実は黒猫に会っていました。庭にいた猫が、窓から椎名の部屋に入ってきたのです。その猫は、尻尾の先が丸まっていました。


その後椎名が河崎に会ったときの様子を、このように書いています。

目の前の彼が、「あ、そうだ」と口を開いて、こう言った。「シッポサキマルマリが来ただろ?」あ、これは悪魔の言葉に違いないな、と思った。

『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎著 東京創元社

ここの部分が、めちゃくちゃ伊坂さんらしいなと思って、ニヤニヤしちゃったわけです。笑 これ以外にも素敵な表現がたくさんある作品です。


この作品は、2つの時間軸の物語があって、3/4くらいは、そのまま2つの時間軸で進んでいきます。この2つの物語は、もちろん共通点があるはずで、それを探しながら読むわけですが、それがなかなか見えてこないんですよね。。。


そのせいで、わたしは途中で少しダレてしまいました (;´Д`)


物語のスピードもけっこうゆっくりなので、伊坂さんのスピード感が好きな方は、少し戸惑うかもしれませんが、最後の伏線回収は本当に見事なので、最後までしっかり読んでほしいと思います。


物語の中には、ブータン人のドルジという青年が登場します。彼はブータン人なので、日本人とは少し違った考え方や感性を持っています。「鳥葬」という文化や、生まれ変わりを信じているなど、なかなか新鮮なことを話してくれます。


ドルジがあまりにも素敵なことを言うので、わたしもブータンに行ってみたくなりました。


読み終わると、登場人物たちをとても愛おしく感じました。少し切なくて、でもあったかい。そんな素敵な物語でした。ぜひ、読んでみてください(´ω`*)
 


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