『わたしの美しい庭』凪良ゆう 著 あらすじと感想(ネタバレなし)

小説

生きづらさを抱えた人を優しく包み込む物語。凪良ゆうさんの『わたしの美しい庭』をご紹介したいと思います。


○生きづらさを感じている人
○マイノリティを自覚している人
○忘れられない恋がある人


に、おすすめの一冊です。
 

基本情報



タイトル:わたしの美しい庭
著者:凪良ゆう
発行日:2019.12.2
発行所:ポプラ社
文庫化:2021.12.7

あらすじ

小学生の百音(もね)と統理(とうり)は、ふたりで暮らしている。ふたりの血は繋がっていない。百音の両親は、百音が5歳のときに事故で亡くなった。百音の母親は統理の元奥さんで、1人になってしまった百音を、統理が引き取ったのだ。


血のつながらない2人のことを、周りの人はあれこれ言うけれど、2人は2人らしく、日々楽しく暮らしている。


朝になると、同じマンションに住む路有(ろう)がやってきて、路有が作った朝ごはんを3人で食べる。路有は、移動式バーを営んでいる。その日その日で、好きな場所に出店する。仕事終わりにそのまま統理の家に寄り、朝ごはんを作るのだ。


3人が住んでいるマンションの屋上には小さな神社がある。統理が宮司として管理している。その神社は、「縁切り神社」と呼ばれていて、悪癖、気鬱となる悪いご縁、全てを断ち切ってくれるという。


縁切り神社のあるマンションに、長らく住んでいるのが桃子(ももこ)。もうすぐ40歳になるが、独身だ。父は亡くなり、母とふたりで暮らしている。


桃子の将来を心配した母親は、お見合いを勧める。実際に会ってみたお見合い相手はいい人だったけど、何かが始まりそうな予兆は感じなかった。桃子の胸には、約束をしたまま着ることができなかった浴衣が、そしてその浴衣に染み付いた想いが絡みついている。


基(もとい)は、準大手ゼネコンに勤める33歳。だが、1年前、日々の過酷な仕事に追われ、鬱になってしまった。仕事を辞め、今は実家で暮らしている。


今も東京で働いている彼女のために、早く元気になってまた働きたいと思っているが、治療はなかなか終わらない。


縁切り神社にやってくる、生きづらさを抱えた人たちの救いの物語。

感想

凪良ゆうさんの作品は、『流浪の月』に続いて2作目です。『流浪の月』を読んだときも、読みながら泣いて、この作品好き!と思いましたが、『わたしの美しい庭』も読みながら泣いて、この作品好き!と思いました。


主要人物のキャラがとても素敵で、みんな大好きになってしまいました。凪良さんは、キャラ設定がとてもうまいなぁと思います。


わたしは桃子の話に共感しまくってしまいました。1人の人を想いながら生きていくのも、とても素敵な生き方だなぁと思います。

わたしは不幸かもしれない。わたしはかわいそうかもしれない。けれどわたしの中には、たった一度の雷鳴が今も響いている。たった一度の恋が、永遠になってもいいじゃない。

『わたしの美しい庭』凪良ゆう著 ポプラ社

人は、恋愛をして、結婚をして、子どもを育てて…という、決まりきった「幸せのルール」に沿って生きていくのが1番幸せだと言われている。だけど、それは全員に当てはまるわけじゃない。


幸せは環境によって決まるわけじゃなくて、自分自身が感じることによって得られるものだから、何をもって幸せと言えるかは、人それぞれなわけです。


桃子自身が、自分の心の奥にある気持ちに気づき、それをしっかり抱えて生きていくと決めたことが、わたしはとても嬉しかったです。


この本は、登場人物たちみんなが、めちゃくちゃいいことを言います。中でも、統理のこのセリフは、とても深くて感銘を受けました。

「理解できないならできないでしかたない。だったら黙って通りすぎればいいんだ。なのにわざわざ声かけて、言い訳して、路有に許されることで自分たちが安心したいんだろう。けど良心の呵責はおまえらの荷物だよ。人を傷つけるなら、それくらいは自分で持て」

『わたしの美しい庭』凪良ゆう著 ポプラ社

これ、わかるなぁ、と。


受け入れられないなら、何も言わずに消えてくれ、と思うわけです。「受け入れられないけど、ごめんね?」って、そりゃないわな、って感じですよね。


この本は、読んでいると、ふんわり包まれるような、優しい感覚になれます。生きづらさを抱えている人、マイノリティを自覚している人にとっては、救いになると思います。


解決策を教えてくれるわけではないけど、ありのままの自分に寄り添ってくれる優しさが、この本にはあります。


心の中に、大切にしまっておきたくなるような、そんな本です。ぜひ、読んでみてください(´ω`*)
 

 
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