テンポがよく、あっという間に読み終わってしまった名著、殊能将之さんの『ハサミ男』をご紹介したいと思います。
○どんでん返しが好きな人
○変わったミステリーを読みたい人
○シュールな笑いが好きな人
に、おすすめの一冊です。
基本情報
タイトル:ハサミ男
著者:殊能将之
文庫化:2002.8.15
発行所:講談社
あらすじ
美少女を殺害し、研ぎ上げたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」は、3人目のターゲットを決めたところだった。
3人目のターゲットは、女子高生の樽宮由紀子(たるみや ゆきこ)目黒区鷹番に住んでいる。
顔を確認し、家を確認し、何度か尾行をして生活リズムを把握する。ハサミもピカピカに研ぎ上げた。犯行の前の綿密な準備も終わり、あとはタイミングを見計らって実行するだけ。
今日はそのタイミングがやってくるかもしれないと、ハサミを持って由紀子を待っていた。
ところが彼女は姿を現さない。帰る途中、ふと公園が気になった。そこには、樽宮由紀子の遺体があった。首にはハサミが突き立てられていた。
ハサミ男の犯行か? いやいや、ハサミ男はこのわたし…。では、いったい誰が…。そうこうしているうちに、公園に人がやってきた。
ハサミ男は遺体の発見者となってしまった。
ハサミ男は、自分が殺すはずだったターゲットを殺したのは誰か、ということが気になっていた。そして、調査を始める。
感想
小説を読み始めたとき、あるポイントで一気にのめり込むことがありますよね。この作品でのわたしのポイントは、間違いなくこの文章からでした。
棚を順に見ていきながら、しばらく考えたすえ、クレゾール石鹸液を買うことにした。もちろん、自殺するためだ。
『ハサミ男』殊能将之著 講談社
ハサミ男は、2回の殺人をおこない、3回目の殺人計画を立てながら、毎週末に自殺を試みているんです。
しかもその方法が、わたしから見れば確実性の低い方法なんです。だからでしょう、毎回死なずに生きています。
ハサミ男は、心のなかに別人格を持っています。それは「医師」という人格です。ハサミ男は医師と対話をするのですが、その内容がシュールでとても面白いのです。
自殺を試みたのに生還した人が、天がわたしに生きろと言っている、わたしは特別な存在なのだ、と勘違いするから嫌だ、と医師が話しているときにこんなことを言います。
「ほら、山のなかで熊に会ったら死んだふりをしろ、とよく言うだろう。昔からそう伝えられている、実際死んだふりをして生きのびた人も数多くいる、とね。そんなのは当然のことだ。だって、死んだふりをして失敗したら、熊に食われちまうじゃないか。わたしは熊の前で死んだふりをしましたが、助かりませんでした、と証言する者はいない。成功例しか報告されないのは当然だよ。自殺の場合も同じさ。自殺に成功した人間は、自分は特別な存在ではありませんでした、とは語らない。なにしろ、もう死んでるんだから」
『ハサミ男』殊能将之著 講談社
ここ、声に出して笑いました。笑 医師は終始このような調子で、シュールな笑いを届けてくれます。
わたしは物語を読み進めていくうちに、ハサミ男に愛着が湧いてきて、捕まってほしくないなぁとまで思いました。ハサミ男の人生をずっと見ていたいと。
最後、怒涛の展開があるのですが、そこでは 今まで想像してきたものが全て崩れるどんでん返しが待っています。
どんでん返しがあると聞いていたので、わたしも途中で「なにがどんなふうに騙されているんだろう?」と考えたりもしたのですが、それでもやっぱり騙されていました。笑 あ~、騙されるって気持ちいい。
読み終わってからすぐに、もう一度最初からパラパラと読み直しました。どんでん返しが好きな人は、ぜひ読んでみてください。
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コメント
こんにちは。
自分も『ハサミ男』読みましたよ。
いい作品ですよね。
ミステリーとしてもさることながら、群像劇としても非常に読み応えがあったと思います。
視点が変わるとこうも違うのかと本当に驚きましたよ。
こんにちは。
ほんとにそうですね。
ミステリー好きに人気がある理由が分かりました。
ずっと読んでいたくなる面白さです(´ω`*)